さて。旦那さんが仕事休みの日、私は昼過ぎに仕事から帰るなり、旦那さんに言った。
「親爺のラーメンが食べたい!」
「親爺のラーメン」とは、「うちのオトン(お父さん)のラーメン」ではなく「ラーメン親爺」という店名のラーメン屋さん、があるんです。
「親爺」は、北白川をはじめ、京都にいくつかある「ラーメン激戦区」から外れたところに一軒、ぽつんとあるラーメン屋さんだが、むかしから地元の人や、それからラーメン通の間では有名な、美味しいラーメン屋さんなのだ。
私は、お店の近くの高校に通っていた(高校が何校か集中している地帯にある)ので先輩から歴代受け継ぐ口コミで「親爺」のことを知り、お昼休みなどによく友人と食べに行っていた。
今でこそ、どこも校則が厳しかったり、さらに学校のセキュリティの強化も進み、下校時間まで勝手な外出はできないようだが、私の頃は、私立ではガチガチの学校もあったけど、公立の学校はわりとゆるくて門も常に空いており、校内に食堂もあるにも関わらず、外の喫茶店とかにお昼を食べに出たりしていた。
注)当時も決して、公認はされていない。勝手に 出ていただけ。
そして、親爺もそうしたお店のひとつで、なんならもう4時間目をサボって食べに行ったりもしていた。
親爺「ジロリ」
やべー。ブッチして(授業をサボって)来てるのバレてる…
そう。この「親爺」の「親爺」が めちゃくちゃ怖いオッチャン で。
ガミガミは言わないけど、黙っていても怖い、むしろそれが怖い、オーラがすごい タイプの。
ちなみに、店内には 志賀勝さん のポスターが貼ってあって、それがまた 親爺にそっくり なんだが
「関連あるんですか?」とか
「ファンなんですか?」とか聞いたら
「…黙って食べろ。ラーメンが冷める」とか叱られそうで、怖くて聞けていない。
でも、そのめちゃくちゃ怖いオッチャンがつくるラーメンが、めちゃくちゃ美味しくて。
旦那さんは元々、京都出身の人じゃないので「ラーメン親爺」のことは知らなかったが、私がむかしよく行ってた店として紹介して、何度か行ったことがあり、でも、自宅からはちょっと遠いんですよね。
だけど、いまは 旦那さんの通勤用をじわじわタンデム仕様にしているビッグスクーター で、ぴゅーんと行けるので。
ラーメン親爺
グルメサイトの口コミで「最近、2代目に(息子さん)代変わりをされた」とは読んでいたが、10年近く前?に来たときはまだ「息子さん」って感じだったのが、すっかり店主の顔つきになっておられた。
そして、パートのオジイチャン?みたいな、小柄で細身のおとなしそうなお爺さんと、2人で切り盛りされていた。
(親爺、いないやん。まじで引退しはったんやな…)と、ちょっと寂しくも思いつつ
なつかしー!親爺のラーメン!
麺は中細で、スープは色こそ真っ黒だが見た目よりアッサリしていて、イメージするなら「新福菜館に近い感じ?」と想像してもらえれば。
ラーメン通には昨今、富山ブラックになぞらえ、親爺のラーメンは「京都・花園(地名)ブラック」とか呼ばれているらしい。
チャーシューは豚バラ肉をトロトロに煮込んであって、食べると口の中でホロリと溶ける。
ニンニク入り(生ニンニクを潰してある)にしたので、少しずつスープに落とし、絡めていきながら。
美味しかったです。御馳走さまでした。
…でもやっぱり気になるのは、厨房の中のあのパートのオジイチャン?みたいな方の存在だ。
失礼ながら、ラーメン屋で雇うならもっと若い人を雇うんじゃないのかな。なんか知り合いに手伝ってもらってはるとか?
…まさか、親爺? …んなわけないか。
あんまりじろじろ見るのもまた失礼なのでそれとなく観察しながら食べていて、でも食べ終わったので、結局、私も旦那さんもなんら確証をつかめないまま、お会計をして退店することに。
店主「ありがとうございました」
オジイチャン「…おおきに。」
親爺だーー!!
だって、雇われてる人が「おおきに」言いませんしね?
まして、店主が丁寧に挨拶してはるのに、ぶっきらぼうに「…おおきに。」で済ますとは。
それにも確証はないけど、親爺だと思った。
むかしみたいなオーラはないけど、あの めちゃくちゃ怖かった 親爺だと。
親爺。
親爺に睨まれてビビっていたあの学生は、もういい年した中年になりました。
私みたいな学生はいっぱいいて、同じように今もひっそり来てるんやろうと思います。笑